ロシアのTVドラマ「キッチン」の第2話の10回目のロシア語会話解説となります!
9回目からだいぶ時間が経ってしまい、「最近全然更新されてないな、、、」と思っている方もいるでしょう。大変お待たせしました!
それでは、今回の解説は2つの小さなエピソードから構成されます。
1つ目は、シェフがついに自分の包丁を見つけてしまったシーン(あんなに騒いで、全員を疑っていたのに、結局自分の部屋にあったなんて、、、まずいぞっていうシーンです)。
復習したい方や発音のチェックしたい方はこちらの動画の15分08秒から見るとちょうどいいです。
か、ミラのインスタでも頻繁に新しいロシア語日常会話フレーズを更新しているので、「1日10秒ロシア語」というコンセプトで10秒の短い動画で今時のロシア語スラングや日常会話のフレーズをご紹介します。
もう1つのシーンは、喧嘩した後のマクシムとコスチャーの会話。
ここでもなんと、無くなったはずの高級コニャックが見つかってしまいました、、、
こちらのリンクの15分48秒から再生できます。
それでは、シェフが包丁を見つけてしまうシーンから:
ドラマキッチン第2話10回:ロシア語会話のスクリプト
太字で黄色いマーカーで色付けしている単語やフレーズは今回ピックアップしたもので、覚えて欲しい単語ですよ!
ピックアップ基準:
- ロシア語日常会話でよく出てくる単語やフレーズ
- 会話特有の単語・フレーズや言い回し
- ロシア語の教科書に乗っていないような表現
- 辞書をひいてもググっても意味がわからない特殊な表現
基本的にロシア語会話を上達させたい人、ロシア人の友達とナチュラルな会話やSNSのメッセージ交換をしたい人向けに2021年現在の今っぽい表現をピックアップしています。初級〜上級を問わず、これこそを知って欲しい!覚えて欲しい!って思う単語やフレーズです。
シェフの独り言のスピーチ:
①Господи! Как же меня всё ②достало! Ну почему всё всегда ③через задницу! Ну неужели нельзя, чтобы хотя бы один день прошёл нормально? Один день, господи! Как-то ④неудобненько получилось…
和訳:
神様!全てにうんざりだ!なんでいつもなんでもかんでもチンプンカンプンなの?ああ、少なくとも1日でも正常に経過することは本当に不可能なのか?たった1日でも、、、 神様!あら、ちょっと気まずいな、、、
そして、ついにコニャックまで見つかっちゃったシーンはこちら:
Maks:- Ты чё, глухой? Не видел я твоего коньяка!
– お前、耳が悪いのか?お前のコニャックを見てないって!
Kostya: – Вот здесь вот, на этом месте стояла бутылка.
– ここだ、この場所で1本のボトルが置いてあったぞ。
Maks: – Сюрприз? ⑤Тебе повезло, что я удара не ожидал. Так бы я тебя точно раскатал.
– ほら、サプライズ!お前ラッキーだな。お前のパンチが想定外だったから。そうじゃなければ、間違いなくお前をボコボコにしてたよ。 (マキシムが予想していたら、反撃してカスチャは負けていただろうという強がりな発言です。)
Kostya: – Ничего не понимаю.
– 意味わからない。
Maks: – Слышь, Костян, я тебе, между прочим, сикипер-то починил.
– 聞いて、コースチャ。お前のCkeeperを直したよ、ちなみに。
Kostya: – Старичок, прости, а!
– ごめんね!
Maks: – А чё мне твоё «прости»? ⑥Косяк за тобой, ⑦чувак, понял, большой косяк. Чё смотришь? Фреш сделай! Голова кружится.
– お前の「ごめん」は何も役に立たず。お前は大きな借りができたんだ、大きな借りだぞ。何見てんの?ジュース作って!頭が回ってるんだもん。
Kostya: – Ща. (Сейчас)
– はい!
ロシア語の日常会話の解説
それでは、上記の会話の2つからピックアップした重要なロシア語ん日常会話フレーズを解説します。
① Господи!
意味:神様よ!
これは、別にロシア聖教の信者じゃなくても普通に使う言葉。英語でも「Oh, God!」というフレーズがあって、不信、欲求不満、興奮、または怒り等のさまざまな感情を表現するものです。
② Как же меня всё достало!
意味:もう全てにうんざりだ!
英語:I’m sick of everything! I’m fed up of everything.
これは是非覚えて欲しいフレーズ、使いこなしてほしい動詞ですよ。ロシア語の日常会話でめちゃくちゃよく使いますよ。
もともと、「достать」=「手に入れる、ゲットする」という意味ですが、日常会話で「うんざりさせる」という意味で使うことがほとんどです(もちろん、本来の意味でも使うことが普通にあります)。
本来の意味の使い方とスラングの使い方を比較して見ましょう:
Ура! Я достал нам билеты в Большой Театр!
- やった!ボリショイ劇場のチケットをゲットした!
Помоги мне, пожалуйста, достать коробку вон с той полки, а то мне самой не достать.
- あの棚にある箱を取るのが手伝ってくれる?自分でなかなか取れないので。
Ты меня достал своими жалобами.
- もうあなたの文句にうんざり。(あなたは文句ばかりでもういやだ)
Меня достала моя работа.
- もう仕事にうんざり。仕事がいやだ。
ほら、本来の「ゲットする」という意味で使うと、自分は主語で、ゲットする物が対格。
一方で、「うんざり」という意味で使うと、自分が対格で、嫌なものが主語になってしまします。つまり、「嫌なことにゲットされた=嫌なことにうんざりした」 というような文章の構成です。
③ Ну почему всё всегда через задницу!
意味:なんでいつもなんでもかんでもチンプンカンプンなの?
英語:Why is everything always through the ass?
「через задницу」=「お尻を通して」の直訳ですが、このフレーズは「下手くそ、悪い、不適切な、低品質、本来あるべきではない」という意味で使います。
ちなみに、「задница」=「お尻」ですが、もう一つの「жопа」という同義語があって、「через задницу」とか「через жопу」とか、全く同じ意味で、同じぐらいの頻度で使います。
ロシア人のほぼ全員はロシアの全ての物事が「через задницу」で行われていると思っています。サービスが全てイマイチだし、ロシア製のものは全て品質がイマイチ。
例えば、品質の悪い車については「Сделали через жопу」と言います。
とにかく、不便で低品質で下手くそなものは全て「через задницу」と言っていいでしょう。
文法的な使い方としては、ドラマ「キッチン」のフレーズのように、
①名刺か代名詞+「через задницу」で(例:всё всегда через задницу)
か、
②動詞に付く副詞として使います(=плохоという副詞のような使い方)。
例えば、Ты всегда всё делаешь через жопу, поэтому тебя и уволили.
いつも適当に(下手くそに)やっているから、君は首になったんだよ。
④ Неудобненько
意味:気まずい
英語:Embarassing, Uncomfortable.
日本語であんなによく使う「気まずいな」というフレーズはロシア語でも知りたいですよね!
実は、めっちゃシンプルな単語でただ単に英語のUncomfortableと同じ意味の「неудобно」なんですよ。それだけです!笑
ドラマ「キッチン」で「неудобно」という副詞にさらに物事を「小さく可愛く」する接尾辞をつけて「неудобненько」と言っているけど、全く意味が同じ。強いて言えば、「неудобненько」のほうがよりカジュアルで、あまり正式な場とか見上の人に対して言えないが、「неудобно」のほうがニュートラルでどんなシチュエーションでも、どんな相手にでも使えます。
⑤ Тебе повезло
意味:あなたはラッキー、〇〇でよかった、あなたは運がいい
英語:You are lucky
不定形:Везти(不完了形) – повезти(完了形)
あれ?
「Везти」って乗り物に乗せて連れていくという意味じゃなかった?
正解!
「乗り物に乗せてもらう」=「ラッキー」ですね。自分で歩かなくて済むので。
それはロシア人の「幸運」のイメージです。
「〇〇がラッキー」というのは、ロシア語特有の受け身のフレーズで
「〇〇の与格+везёт (現在形用)かповезло(過去形用)です。
日本語も英語も、ラッキーは主人公が主語なのに、ロシア語は主語がなく、ラッキーな人物は「与格」です。
「Мне нравится」と同じパターンで、「与格+動詞」ですね。
現在形(いつもラッキー)と過去形(あの時でこうなってよかった、〇〇の結果でラッキーだった)の一通りの変化はこんな感じです:
私がラッキー Мне всегда везёт / Мне повезло
あなたがラッキー Тебе всегда везёт / Тебе повезло
彼がラッキー Ему всегда везёт / Ему повезло
彼女がラッキー Ей всегда везёт / Ей повезло
我々がラッキー Нам всегда везёт / Нам повезло
あなた達がラッキー Вам всегда везёт / Вам повезло
彼らがラッキー Им всегда везёт / Им повезло
例文:
Везёт тебе, у тебя родители богатые.
- 君はラッキーだね、親がお金持ちだから。
Я выиграл в лотерею билеты на Олимпиаду. -Ух ты! Круто! Как тебе повезло!
- オリンピックのチケットの抽選に当たったよ。 あら、すごいわね。なんて運がいいの。
⑥ Косяк за тобой
意味:あなたに借ができたぞ。あなたの失敗だぞ。
英語:You owe me one, dude.
「Косяк」=「失敗、ミス」という意味で、ロシア語日常会話でよく使うスラングです。
また、この単語から発生する動詞も割とよく聞こえてきます:
Косяк → Накосячить (=やらかしてしまう、ミスしてしまう)
ドラマ「キッチン」のこのシーンでは、高級のコニャックを無くしたKostyaがMaksを疑ってしまったけど、実際にはMaksが無罪で、その疑いが的外れでしたね。Kostyaがミスってしまったので、Maksが「あんたの失敗だぞ。=あんたに借りができたぞ」と返してますね。
つまり、今度、Maksに何かあったらKostyaが助けなければならないね。実際にそのエピソードの最後にそのような機会が訪れてきます。
例文:
Ну ты накосячил… Что же теперь делать?
- あなたまたやらかしたわね。これからどうしよう。
Я опять накосячил на работе, начальник будет в бешенстве.
- また仕事でやらかしちゃった。上司に怒られちゃう。
Извини, за мной косяк.
- すいません。あなたに借りができました。
⑦ Чувак
意味:お前。
英語:Dude! Bro!
日本語にはちょうどいい言葉がないので、無理矢理「お前」としか訳しようがありませんけど、英語のではピッタリの「Dude]という単語があります。
「Чувак」とは、やや若いヤンキーが使うスラングですが、ドラマ「キッチン」の20代のMaksが使っても違和感がありません。ただ、やっぱり男同士で使われることが多く、女性の前ではあまり言わないし、女性に対しても使うことはないです(そもそも、男性名詞の単語だし)。
ロシア語を学んでいるみなさんもこの単語は理解するだけで、使わなくていいと思いますよ。
単純な相手の呼び方なので、例文も省略します。
、、、というように、「Чувак」を一生懸命説明していたら、実は前回の第2話9回の解説にもこの単語が出てきてすでに説明済みということに気づいちゃいました、、、 涙
あら、ブログの前回の更新からあまりにも時間が開いてしまったので忘れてしまった、、、
まとめ
久しぶりのドラマ「キッチン」の解説でした!
みんなはもうドラマを最後まで見ちゃったかな?私の解説も追いつかないと!
さて、今日覚えた最新のロシア語スラング&日常会話はこちらの7選です:
1.Господи!
2.Как же меня всё достало!
3.Всё всегда через задницу
4.Как-то неудобненько получилось…
5.Тебе повезло
6.Косяк за тобой (Накосячить)
7.Чувак (復習)
ドラマ「キッチン」の第2話の最後がめっちゃ面白いので、次回の解説も楽しみにしてくださいね。
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