ロシアの大人気ドラマ「キッチン」第1話からシェフとレストランのオーナーの打ち合わせのシーンをピックアップしました。
このシーンはロシア語日常会話で使われる単語やフレーズがたくさんあります。
このシーンの具体的な内容は、二日酔いでお昼過ぎに起こされたシェフがレストランのオーナーに呼び出され、隣に新しいライバルレストランが間も無くオープンするという話を聞く。
ロシア語の生のスラングが詰まった会話ですので、ぜひチェックして!
また、いつも通り、下記の解説を参考にしながら、是非ユーチューブで発音のチェックもして下さいね!
- ロシア語のスクリプト:シェフとオーナーの打ち合わせ
- ドラマキッチンのロシア語日常会話とスラングの解説
- キッチンのロシア語スラング:Не моё (собачье) дело
- キッチンのロシア語スラング:Тебе пора завязывать
- キッチンのロシア語会話:Будет наоборот
- キッチンのロシア語会話:Ты меня уволишь
- キッチンのロシア語スラング:Облажаешься, я тебя уволю
- キッチンのロシア語会話:Каких ещё конкурентов?
- キッチンのロシア語スラング:Прямо на носу
- キッチンのロシア語スラング:Просто, говорит, красавчик
- キッチンのロシア語スラング:Порвёт всех
- キッチンのロシア語スラング:Мы с тобой всё обсудим.
- まとめ
ロシア語のスクリプト:シェフとオーナーの打ち合わせ
– На 91-ой (девяносто первой) минуте пропустили. Ну, не свиньи? (⭐️)(←第1話の第4部で解説してます!)
– あいつらは90分過ぎてからゴールされた(負けたんだ)。間抜けじゃないか?(豚じゃないか?)
– Вить, не моё собачье дело①. Тебе пора завязывать.②
-そんなこと、どうでもいい。お前、そろそろお酒を辞めた方がいい。
– Дима, ресторан полон. Гости довольны. Конкуренты злятся. Будет наоборот③, ты меня уволишь.④
-ディマー、レストランが満席。お客さんが満足。ライバルが怒っている。逆だったら、私を首にしてもいい。
– Я сегодня вечером конкурентов приглашаю. Облажаешься⑤, я тебя уволю.
-今夜、ライバルを招待するのよ。失敗したら、首にする。
– Каких ещё конкурентов? ⑥
– 何のライバルなの?
– Из ресторана, который за стеной у нас открывается прямо на носу.⑦
– 隣で目の前にオープンするレストランから来る。
– Отравить их?
– 痛めつけるか(食中毒になるようにやってあげようか)
– Не надо никого травить. Это наш друг открывает. Приведёт своего нового шеф-повара. Из Индии, говорит, привёз. Просто, говорит, красавчик⑧. Порвёт всех ⑨ (=победить, значительно превзойти в чём-то).
– 誰も痛めつける必要ない。友達がオープンするので。奴は新しいシェフを連れてくるんだ。インドから連れてきたって。めっちゃ素晴らしいシェフだって。誰にも負けないって。(全員を打ち負かすって)
– А чё (⭐️)не из Таджикистана?(←過去記事を参照!第1話の第5部で解説しています) Шеф – таджик, ему заодно и ремонт бы сделал. Я пойду, ладно?
– 何でタジキスタンからじゃないの?タジキスタン人のシェフならおまけに(レストランの)リフォームまでやってくれたのに。俺、行くぞ、いい?
– Не надо никуда идти. Сиди. Да. Я иду щас (=сейчас). Значит, я вернусь, и мы с тобой всё обсудим⑩, чем ты вечером будешь удивлять наших гостей. Да не ты удивлять. Ты уже удивил.
どこにも行かないで。座って。もしもし。もう行くよ。俺、帰ってきたら、今夜お客さんにどういうおもてなしをするか(どう驚かせるのか)、細かいお話しよう。驚かせるのはあなたじゃない。あなたは既に驚かせたんで。
ドラマキッチンのロシア語日常会話とスラングの解説
それでは、上記の会話・打ち合わせの中で出てくるお役立ちロシア語フレーズを解説します!
キッチンのロシア語スラング:Не моё (собачье) дело
意味:私に関係ない。どうでもいい。
英語の類義語:None of my business
こちらはロシア語日常会話でよく出てくる表現です。
日本語でも英語でもみんなきっと使ったことありますね。「私に関係ない、どうでもいい、その話はいい」という意味のフレーズ。
普段、「Не моё дело」(собачье無しで)使いますが、こちらの会話でレストランのオーナーがクールでイケている男性なのでもっとスラングに近いバージョンを使っています。
「Собачье」を入れることによってよりスラングっぽく、より失礼で、より乱暴な言葉になります。
「Не моё дело」自体は普通の言葉です(スラングではありません)。
こちらのフレーズの代名詞は入れ替え可能ですので、シチュエーションに合わせて使いこなせるのです!
Я: Не моё дело
Ты: Не твоё дело
Он: Не его дело
Она: Не её дело
Мы: Не наше дело
Вы: Не ваше дело
Они: Не их дело
こちらのロシア語のフレーズは単独で使うことが多いので、特に例文紹介が不要と思います。日本語も英語もそうですね「None of my business」とだけ言いますもんね。
キッチンのロシア語スラング:Тебе пора завязывать
意味:あなたはそろそろ辞めた方がいい。もういい加減にして。
英語:It’s time you stop doing something
典型的なロシア語のスラングです!
「何かを辞めた方がいい」という意味で、一般的に使うシチュエーションはまさにこのキッチンのシーンのように、「お酒」の話で使うことが多いです。
他にも、「タバコ」とか「パチンコ」のような何かの悪い癖を辞めさせたい、辞めたい時に使います。
元々、「завязывать (不完了体) – завязать(完了体)」という動詞は「結ぶ」という意味です。
- Завязывать шнурки 靴紐を結ぶ、
- Завязать бантик リボンを結ぶ
というようなシンプルなシチュエーションで使います。
一方、ロシア語の日常会話の中ではこの動詞は「辞める」という二つ目の意味があります。
フレーズの代名詞はもちろん、いろいろ入れ替え可能。
Я: Мне пора завязывать
Ты: Тебе пора завязывать
Он: Ему пора завязывать
Она: Ей пора завязывать
Мы: Нам пора завязывать
Вы: Вам пора завязывать
Они: Им пора завязывать
簡単は例文紹介を合わせてご確認ください!
- Он слишком много курит. Ему пора завязывать.
- 彼はめっちゃタバコを吸ってます。もう辞めた方がいい。
- Вы очень много пьёте. Вам пора завязывать.
- あなたはお酒が飲み過ぎでしょう。そろそろ辞めた方がいい。
キッチンのロシア語会話:Будет наоборот
意味:逆だったら(状況が今と違ったら)
英語:If it is the other way around…
これはロシア語のスラングではないですが、会話で使えそうなフレーズですので、ピックアップしました。
単語の意味も辞書通りで、特に変わった使い方をしていないので、分かりやすいでしょう。
シェフとオーナーの会話の中で、今のレストランの状況が素晴らしい(レストランが満席、客さんが満足している)ので、シェフが自信があります。
例えば、レストランがガラガラで、お客さんがクレームしている等の逆の状況だったら、シェフを首にしてもいいという話です。
キッチンのロシア語会話:Ты меня уволишь
意味:あなたは私を首にする。
英語:You will fire me.
Уволить (完了体) – увольнять (不完了体) (с работы)
こちらもスラングではなく、辞書通りのロシア語のフレーズです。
第1話のPart 1で「就職する」、「仕事に応募する」という単語があったので、今回はその反対の「首にする」、「首になる」というフレーズをご紹介しようと思いました。
具体的な使い方はこちらの例文紹介でご確認ください。
- Я устроился поваром в ресторан, а через месяц меня уволили.
- 私、レストランのシェフとして就職したけど、1ヶ月後に解雇された(首になった。)
- Всех сотрудников уволили с работы из-за коронавируса.
- 会社員全員はコロナウィルスの影響で解雇された(首になった)。
キッチンのロシア語スラング:Облажаешься, я тебя уволю
意味:失敗する、やらかす
英語:Screw up, fuck up
Облажаться (動詞の不定形)
典型的なロシア語のスラング!!
これ、よく会話で出てきます。単純に「失敗する」という意味です。
この動詞の他に関連の名刺もよく会話で出てきます。
- 関連の名刺:лажа
- 日本語:失敗、くそ、でたらめ、うそ
- 英語:Crap, mess, messy business
私、子供の時、クラシックギターを習った時、レッスン中に失敗する度に先生は「Лажа! Опять лажа! 」ととってもよく言ってました。
レッスンの度にこの言葉を何回も聞かされていた、、、という子供の時のちょっと寂しい思い出があります。
こちらの例文もご確認ください。
- Не гони лажу.
- 嘘つかないで!
- Что за лажа!
- なんだこれ!くそ!
- Ну вот, он опять облажался на работе.
- ほらね、彼はまた仕事で大失敗した。
キッチンのロシア語会話:Каких ещё конкурентов?
意味:何のライバルなの?何のライバルの話?
英語:What competitors? What rivals do you mean?
このロシア語のフレーズの中で「ещё」に注目です!
「ещё」無しでもこの文章が全然意味が通じます。
「何のライバル?」という質問のままです。
しかし、「ещё」を入れることによってより日常会話っぽい質問になります。
こちらの「ещё」は「もっと、まだ」という一般的な「ещё」の意味とは違います。
日本語でニューアンスを伝えるのが難しいですが、「何の話かよく分からない」という意味に近いでしょう。ちょっとびっくりして、「え?何の話?」という時に使います。
英語で言えば、「what do you mean」的なニューアンス。
例えば、このようなシチュエーションです。
- Я на выходных поеду в онсен. – Какой ещё онсен??
- 週末、温泉旅行に行きます。ーえ?何の話?(どこの温泉?何の温泉?という温泉の情報を聞いている訳ではなく、温泉の話を聞いてないのでびっくりして「え?何の話?」と聞いています)
キッチンのロシア語スラング:Прямо на носу
意味:すぐ目の前(物理的に近い)、すぐ(時短的に間も無く)
英語:right under your nose
これも典型的なロシア語のスラング!
すぐ目の前、すぐそばにあるという意味です。
一般的に使うシチュエーションは、誰かがすぐ目の前に起きていることに気づいてない様子。
キッチンの会話の中でも、すぐ隣にレストランがオープンするのに、シェフが全く気づいてない、知らないですね。
英語でも似たような表現がありますので、ほぼ直訳です。
面白いのは、ロシア語の表現は「鼻の上」、なのに英語の表現は「鼻の下」ですね。(笑)
ちなみに、ロシア語は「鼻のまっ下」と言っても同じ意味です。
それは、「у тебя прямо под носом」という表現になります。
ちなみに、「鼻のまっ下」でも、「鼻の上」でも、「прямо」という単語が無くても全然OKです。
普通に「на носу」とか「под носом」だけでいい。
こういう使い方があります。
- Ты что, не видишь, вон твоя рубашка лежит у тебя прямо под носом.
- 見えてない の?あなたのシャツはすぐそっちにあるじゃん。
- У тебя экзамены на носу, а ты всё на вечеринки ходишь.
- 君、もうすぐ試験があるのに、パーティーに行きまくってるじゃん。
キッチンのロシア語スラング:Просто, говорит, красавчик
意味:素晴らしいシェフだって。(めっちゃできる人だって。)
こちらの「красавчик」の単語は本来の「格好いい、イケメン(handsome)」の意味ではないです。
ロシア語会話の中で「красавчик」はよく褒め言葉として使われます。
「偉い、すごい、できる人」という意味です。
キッチンの会話の中で、ライバルのレストランのオーナーは自分のシェフのことについて「красавчик」と言っているのは、「とってもできるシェフ、料理が上手」という意味です。
ちなみに、女性バージョンの「красавица」はあまり「できる女」という意味で使われることなく、本来の「美女」という意味だけで使います。
ということで、男性バージョンの「красавчик」を男性を褒める時に使ってみましょう!
例えばこういうシチュエーションです。
- Я починил стиральную машинку. – Ой, спасибо! Ты просто красавчик!
- 俺、洗濯機を直したよ。–マジありがとう!できる男だね!
- Мой муж умеет готовить лазанью. – Он у тебя просто красавчик!
- 旦那はラザニアが作れる。– 本当にできる旦那だね!
キッチンのロシア語スラング:Порвёт всех
意味:圧勝する。全員が破れる。
こちらも典型的なロシア語スラングです!
ロシア語の日常会話でよく使う言葉です。
特にスポーツの試合の話でよく出てくるスラングですので、サッカーや野球の話を友達とする時に使ってみましょう。
例えば、このような会話で。
- Вчера Спартак порвал Зенит со счётом 5-0.
- 昨日、スパルタク(チーム名)はゼニット(チーム名)を5対0で破った。
- Наша команда по бейсболу порвала всех противников и вышла в финал.
- 私たちのチームはライバル全員を圧勝し、決勝に進んだ。
キッチンのロシア語スラング:Мы с тобой всё обсудим.
意味:細かい話をしよう。打ち合わせしよう。
英語:We’ll discuss everything.
こちらの表現はロシア語のスラングではないですが、日常会話の中でも、ビジネス会話の中でもよく使われるので、覚えておきましょう!
言葉の意味も辞書通りで、特に困ることがないと思います。
上記のフレーズのバリエーションはこちらです。
- Мы всё обсудим за ужином.
- 夜ご飯の時に話し合いましょう。
- Они уже всё обсудили и решили пока не покупать квартиру.
- 彼らはいろいろ話し合って、今のところマンションを買わないことにした。
- Наши клиенты хотят обсудить условия доставки.
- 我々のお客さんはデリバリの条件(配達条件)について打ち合わせをしたい。
まとめ
ロシアのドラマキッチンはやっぱりロシア語スラングだらけですね!
今回のシェフとオーナーの打ち合わせのシーンは特にそうです。
ロシア語の日常会話のフレーズや単語をたくさん学びましたね!
改めて復習しましょう:
- Не моё собачье дело.
- Тебе пора завязывать.
- Будет наоборот.
- Ты меня уволишь.
- Облажаешься, я тебя уволю.
- Каких ещё конкурентов?
- Из ресторана, который за стеной у нас открывается прямо на носу.
- Просто, говорит, красавчик.
- Порвёт всех.
- Мы с тобой всё обсудим.
続きも楽しみにしてください!
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