ロシアTVドラマ「キッチン」第2話の7回目の解説です!
ロシア語初心者から上級者まで、誰でも本物のロシア語会話を学べるサイトです。
大人気のロシアのコメディードラマ「キッチン」から今っぽいロシア語フレーズをピックアップして解説しています。
教科書や辞書にあまり出てこないけど、実はロシア人が毎日のように使うフレーズがたくさんあります。
また、ドラマ「キッチン」のいいところは、Youtubeでいつでも見れることです!
(今回の解説のシーンはYoutube動画の第2話の10:10(10分10秒)からスタート。)
ドラマキッチン第2話7回:ロシア語会話のスクリプト
太字で黄色いマーカーで色付けしている単語やフレーズは今回ピックアップしたもので、覚えて欲しい単語ですよ!
ピックアップ基準:
- ロシア語日常会話でよく出てくる単語やフレーズ
- 会話特有の単語・フレーズや言い回し
- ロシア語の教科書に乗っていないような表現
- 辞書をひいてもググっても意味がわからない特殊な表現
基本的にロシア語会話を上達させたい人、ロシア人の友達とナチュラルな会話やSNSのメッセージ交換をしたい人向けに2020年現在の今っぽい表現をピックアップしています。初級〜上級を問わず、これこそを知って欲しい!覚えて欲しい!って思う単語やフレーズです。
それでは、今回解説する第2話の7回目の会話はこちらです(前回の6回目の解説はこちら):
– Ест?
– 食べてる?
– Да конечно, ест, куда она денется.①
– もちろん食べてる、他に選択肢がないじゃん。
– Девушка, можно на секундочку. Позовите, пожалуйста, Вашего шеф-повара.
– すみません、ちょっといいですか?あなた方のシェフを読んでください、お願いします。
– Ой, баай (по-киргизки), она Саше что-то сказала.
– あら、彼女はサーシャに何か言ったわよ。
– Может, добавки② попросила?
– もしかして、おかわりを頼んだの?
– Гостья… Гостья просит шефа!
– お客様は、、、お客様はシェフを呼んでいます。
– А я вас предупреждал!③
– 俺はあなたたちに忠告したからね。
– Накаркал!④
– 縁起悪いことを言っただろ!
– Иди к шефу!
– シェフのところに行って来て!
– Причём здесь я?⑤
– 俺が関係ないでしょ!
– Иди, иди!
– 行って、行って!
– Я вообще был с самого начала против. Федя всё придумал, пускай он идёт.
– 俺は最初から反対だったよ!フェーデャのアイデアだったので、彼が行くべきだ。
– Почему я?
– どうして俺なの?
– Сам иди! Ты его правая рука. Он правую руку не тронет.
– 自分が行けよ!お前はシェフの右腕だろ!シェフは右腕に手は出さないだろ。
– Сходи!
– 行って!
– Я не пойду.
– 俺は行かない。
– Пускай Луи идёт! Ему терять нечего, он всё равно француз.
– じゃあ、ルイが行くべきだ!彼はどうせ失うことないだろ、フランス人だし。
– Слушайте, давайте напишем шефу эсэмэску.
– 聞いて、シェフにSMSを送ろうよ!
– Да, мы ему все заявление по собственному (желанию)⑥ напишем.
– そうそう、みんなで辞表を書こうよ。
– Не надо каркать.(④と一緒)
– 縁起でもないことを言うなよ。
– Не паникуйте!⑦
– 落ち着いて!
– Шеф! Шеф!
– シェフ!シェフ!
– Что ещё?
– 何だ?
– Вас эта… симпатичная, ну, с будущего соседнего ресторана зовёт. Ну, такая, которая Вам понравилась.
– あなたを、ほら、隣のレストランのあの綺麗な人が呼んでいます。ほら、あなたが気に入った女性ですよ。
– Айнура, не говори ерунды⑧. Никто мне не понравился. Она ещё не ушла?
– アイヌーラ、馬鹿なことを言うな。誰のことも気に入ってなよ。彼女まだ帰ってないの?
ロシア語フレーズと単語の解説
それでは、今回注目して欲しいロシア語フレーズや単語はこちらの8つです:
куда она денется.
意味:他に選択肢がないでしょう、他にすることないでしょう
英語:She has no other choice.
不定形:(по)деваться – деться
この動詞、ロシア語特有で日本語にも英語にも100%同じ意味のものがなく、シチュエーションに合わせて適切な訳し方を考えないといけないです。
ロシア人が日常的にめっちゃ使うので、是非覚えておきましょう。
不定形の本来の意味は:消える、いなくなる、どこか行っちゃう、姿を消す
活用はこちら(現在・未来形):
Я (по)деваюсь – денусь
Ты (по)деваешься – денешься
Он/Она (по)девается – денется
Мы (по)деваемся – денемся
Вы (по)деваетесь – денетесь
Они (по)деваются – денутся
過去形:
男性:(по)девался – делся
女性:(по)девалась – делась
中性:(по)девалось – делось
複数:(по)девались – делись
だけど、ドラマ「キッチン」のような文章ではそのまま訳したら変になりますね:
「もちろん食べている、彼女がどこに消えるの?」。
一方で過去形の活用の場合、本来の「消える、どっか行っちゃう」と言う意味になります。
例文紹介は一番よく使われるパターンとなりますので、使い方のイメージを掴みましょう:
Куда делся(=подевался) мой телефон? Никак не могу найти.
- 俺の携帯がどこ行っちゃった?なかなか見つからない。
Куда делось(=подевалось) моё любимое платье?
- 私の一番お気に入りのワンピースどこ行っちゃったかな?
Куда делись(=подевались) все конфеты? Это ты всё съел?
- お菓子がどこ行っちゃった?君が全部食べたの?
Куда ты денешься, будешь один работать над этим проектом.
- 仕方ない、あなた一人でこのプロジェクトの仕事をするんだよ。
Конечно, он женится на ней, куда он денется.
- もちろん、彼は彼女と結婚するんだよ。彼は他に選択肢がないもん。(彼は逃げ場がないもん)
ちなみに、「どっか無くなった・どっか行っちゃった」という過去形で使う場合、「Куда делся」を使っても、「Куда подевался」を使っても、意味が同じ!好きな方を使ってください。
Добавки
意味:おかわり
おかわりが欲しい時に言うフレーズは「Я хочу добавки, пожалуйста」。
ロシア料理が気に入ったら、ぜひ「おかわり」を頼んでみてください!
後、もしロシア人の友達の家に行くことがあったり、ホームステイの機会があったりすると、きっとそのロシア人の家族(主にお母さんかおばあちゃん)はご飯を食べる際に必ず「おかわりどうですか?」と聞いてくるので、質問を理解できるようにこの単語を是非覚えておきましょう!
Ты всё съел? Добавку будешь?
- 全部食べた?おかわり欲しい?
Может, добавки?
- おかわりどう?
Дайте добавки, пожалуйста!
- おかわりください!
А я вас предупреждал!
意味:忠告する、警告する。(私はあなたたちに忠告してたでしょ。俺、言ったでしょ。)
英語:I told you! I warned you!
不定形:предупреждать(不完了体) – предупредить(完了体)
これは辞書通りの意味で、ドラマ「キッチン」では特に変わった使い方をしていないですが、日常会話で割と頻繁に出てくる単語なので覚えておきたいですね。
やや長くて発音も難しそうですので、活用を載せておきますね:
Я предупреждаю – предупрежу
Ты предупреждаешь – предупредишь
Он/она предупреждает – предупредит
Мы предупреждаем – предупредим
Вы предупреждаете – предупредите
Они предупреждают – предупредят
こんな使い方をします:
Я тебя предупреждала, а ты, как всегда, меня не послушал.
- 私はあなたに警告してたのに、あなたが相変わらず聞いてくれなかった。
Он нас предупредил, что впереди спряталась милиция.
- 彼は私たちに忠告してくれた、手前に警察が隠れていることについて。
Предупреждаю: лучше не ездить в Питер зимой, там очень холодно.
- 言っておくね:サンクト・ぺテルブールグに冬に行かない方がいい。めっちゃ寒いから。
Накаркал!
意味:縁起の悪いことを言う(元々:カラスの鳴き声)
英語:to croak
不定形:каркать(不完了形) – накаркать(完了形)
ロシア人がめっちゃ迷信を信じるって、みんな知ってましたか?
ありとあらゆる迷信があります。
この単語はまさに迷信の一つです。
元々、「カラスの鳴き声」と意味で、カラスが出している声は「カールカール」と聞こえるので、「каркать」と言います。
で、カラスはなぜか縁起の悪い動物とされています。真っ黒だし、賢いし、襲うこともあるし、見た目も怖いし。
なので、カラスが鳴くと何か悪い・怖いことが起こりそうだ、と言う迷信があります。
こういう背景から、「каркать」=「悪いことを予言する」みたいな意味です。
つまり、まだ起こっていないのに、「きっとそういう悪いことになるだろう」と口にしたら、その悪いことを実際に引き寄せるような効果があると信じられています。
ドラマ「キッチン」のこのシーンで2つの例がありますね。
一つ目は、リョーヴァは最初からシェフの代わりに料理をすることに反対していたが、みんなは料理を作ってライバルシェフに食べさせたんですね。そして、ライバルシェフから呼び出しがかかったんですね。その時にリョーヴァは「俺、忠告したじゃん!」って言いますね。つまり、「シェフのかわりに料理を作ったら大問題になるぞ!って俺が言ってたじゃん!」とリョーヴァが言いたいですね。それに対して、フェーデャは「Накаркал!」って言って、つまり、リョーヴァが「大問題になるぞ」と言ったせいでほら!実際に大問題になったわけだ。
もう一つの例は、リョーヴァは「みんなで辞表を書こう」って言った時に、今度はセーニャから「Не надо каркать」って怒られますね。つまり、「辞表」なんてネガティブなことを言ったら、本当にそのことが現実になってしまうかもしれないからです。
この動詞の使い方をまとめると、主に2パターンあります:
- 何かネガティヴなことを言ってる人に対して「Не надо каркать」(縁起の悪いことを言わないで!)と言います。
- 逆に悪いことがすでに実際に起きてしまったら、それを警告していた人に「Накаркал!」って言います。つまり、「あんたのせいでこんなことになっちゃったぞ」と、その人が悪いことを実際に引き寄せてしまったという意味です。
Мне кажется, что не возьмут её на работу. – Не надо каркать!
- 彼女は採用されない気がする。― 縁起の悪いこと言わないで!
Только б не было тайфуна во время нашего путешествия на Окинаву. – Не каркай!
- うちの沖縄旅行の時に台風が来ないといいよね。― 縁起の悪いこと言わないで!
Ну вот, накаркал! Завтра тайфун придёт.
- ほら、お前のせいだ!明日台風が来るじゃん。(お前が運が悪くて、ネガティブなことを言ってたから実際にその通りになった)。
При чём здесь я?
意味:俺が関係ないでしょう!
英語:Why me?
「〇〇に関係ない」と言いたい時に使うフレーズです。
一般的に「関係ない」という否定的なフレーズで使うか、「関係あるの?」という質問で使います。
(他にもいろいろな使い方があるんですが、ロシア語会話で一番よく出てくるパターンさえ覚えれば、十分使いまわせると思います!)
よく聞く話はこんな感じです:
При чём здесь она?
- 彼女は関係あるの?(つまり、彼女には関係ないでしょ)
Он тут совсем ни при чём.
- 彼はここで全く関係ないでしょ。
Мы к этому делу ни при чём.
- 我々はこんなことに関係ない。(我々は何も知らない)。
Заявление по собственному (желанию)
意味:辞表
英語:Letter of resignation
これはロシア語を勉強しているみなさんが使うことがあまりなさそうですが、Youtubeでドラマだけを見れば「ん?何を言ってるの?」と分かりにくいセリフなのではないかと思います。
このフレーズのフルバージョンは:
Заявление на увольнение по собственному желанию
(直訳すると:自分の希望での辞任申請書)
だけど、実際にドラマで言っているセリフは「Заявление по собственному」だけで、他の単語が省略されていますね。
日本語で二文字の「辞表」だけなのに、ロシア語では「Заявление на увольнение по собственному желанию」というめっちゃ長い文章になってしまいますね!
なので、ロシア人もこんなに長いフレーズを言うのが面倒くさくて、会話の中で「Заявление по собственному」に略します。
このフレーズの意味はただの「辞表」(辞任申請書)だけなので、みなさんもあまり使うこともないでしょうから、例文紹介を省略します。
Не паникуйте!
意味:落ち着いて!
英語:Don’t panic!
不定形: паниковать
結構使えそうなフレーズですね!
感情的になってしまった相手を落ち着かせるために言います。
英語にもそっくりなので、覚えやすいですね!
みなさんもきっとお気づきでしょうけど、ドラマ「キッチン」で使われているこのフレーズは複数系です。相手が一人だったら、「Не паникуй!」となります。
例えな:
Не паникуй! Всё будет хорошо.
- 落ち着いて!うまく行くよ。
Не паникуйте! Давайте всё спокойно обсудим.
- 落ち着いて!落ち着いて静かに協議しましょう。
Не говори ерунды.
意味:でたらめを言わないで。
英語:Don’t talk nonsense.
「Ерунда」は「でたらめ。ノンセンス。なんでもない」という意味です。
ロシア語の日常会話で結構よく使う単語で、使い方は主に2つ:
- 一つ目は、ドラマ「キッチン」のフレーズのように「でたらめを言わないで。バカなことを言わないで」というような使い方。
- 二つ目は、「とんでもない。なんでもない」という「大したことない。Nothing」
という意味の使い方。
例文紹介でその違いを見てみましょう:
Завтра будет снег. – Не говори ерунды! Какой снег в июне?
- 明日は雪が降るね。―バカなこと言わないで!何の雪なの、6月に?
Я так волновался на первом свидании, что наговорил всякой ерунды.
- 俺、初デートで緊張しすぎてめっちゃデタラメなことを喋ってしまった。
Спасибо, что довёз меня до дома! – Да не за что, ерунда.
- 家まで車で見送ってくれてありがとう!―いや、とんでもない。
Ой, ты ударился? Больно? – Да ерунда!
- あら、どっかうったの?痛い?―いや、なんでもない!
まとめ
以上、ロシアTVドラマ「キッチン」の第2話の7回目の解説でした!
今回8つのお役立ちフレーズを覚えましたね:
1) Куда ты/он/она денется
2) Добавка
3) А я вас предупреждал
4) Накаркал
5) Причём здесь я
6) Заявление по собственному (желанию)
7) Не паникуй!
8) Не говори ерунды!
Всем успехов в изучении русского языка! Когда вам грустно или скучно, смотрите кухню!
Пока!
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