ロシアのドラマ「キッチン」の第1話からオーナーとシェフの話のシーンで出てくる面白いロシア語を解説します。
おまけにマクシムがレストランに到着したばかりのミニシーンも入れておきますので、お見逃しなく!
今回はシーズン1の第1話の第5回のロシア語会話解説となりますので、まだ前回の記事を読めてない方はぜひこちらをチェックしてみてください:
レストランのオーナーとシェフの話とは、すぐ隣でオープンするライバルレストランのオーナーが食事に来る予定があって、シェフから特別なパフォーマンスが求められているという話です。
ロシア人が日常会話でよく使っている面白いスラングが含まれていますので、チェックしてみてください。
また、いつも通り、下記の解説を参考にしながら、Youtubeで発音のチェックも忘れずに!
ドラマキッチンの第1話第5回のロシア語のスクリプト(和訳付き)
それでは、先にレストランのオーナーとシェフの話のシーンの和訳付きのロシア語のスクリプトをご確認ください。
シェフとオーナーの会話のシーンのロシア語スクリプト
– Дерьмо.①
– クソ!
– Бухал вчера?②
– 昨日飲んでたの?(昨日酔っ払ったの?)
– Заметно?③
– 分かる?(バレた?)
– Приятного аппетита.
– ボン・アペティー!(いただきます)
– Что-нибудь желаете?
– 何かがご希望ですか?(何かが欲しいですか?)
– Воды.
– お水。
– С газом, без газа?
– ガス入り?ガス抜き?(普通のお水か炭酸水か)
– Литр!!!
– 1リットルだ!
– Всё, я несу.④
– はい、かしこまりました。すぐ持ってきます。
マクシムがレストランに入ったシーンのロシア語スクリプト
– Хотите меня?
– 私が欲しいんですか?(つまり:do you want me?)
– Чё?⑤
– 何?
– Я говорю, хотите меню?
– メニューが欲しいか(見たいか)と聞いています。
– Нет, нет, спасибо. Я к Дмитрию Владимировичу. Он год назад меня на работу приглашал. А, вот и он.⑥
– ああ、いや、いらない、、、ありがとう。私、ドミトリー・ウラディミロビッチに会いに来たんです。去年、彼から仕事のオファーをもらったので。ああ、彼だ!
– Дмитрий Владимирович сейчас занят. Можете подождать его здесь?
– ドミトリー・ウラディミロビッチは今忙しいので、ここでお待ちいただけますか?
ドラマキッチンの第1話のロシア語会話解説
それでは、スクリプトからピックアップしたロシア語会話・ロシア語スラングのフレーズを解説します。
キッチンのロシア語会話:Дерьмо
意味:くそ!
英語の類義語: Shit!
これは文字通りで分かりやすいです!
ロシア人も日本人と同じように不快・嫌なシチュエーションで「クソ!」って言ってしまいます。
英語圏の「Shit!」と同じ使い方ですし、特に理解が難しい単語ではないと思います。
国境を超えて、人間は国籍を問わず何かのハプニングがあった時に「クソ」って怒りますね。
ロシア語を勉強している日本人にはこの単語を利用するのをあまりオススメしません(当然ですね 笑)
失礼になる可能性が高かく、危ないです。
ロシア語を勉強している皆さんはきっと育ちが良くて上品な人ですので、キャラ的に似合わないでしょうね。
学生の友達同士ならロシア人の相手がウケる可能性もありますが、「Дерьмо」をやっぱり使ってみたいなら空気をよく読んで気をつけて使ってね!
分かりやすい単語でもあり、また、あまり日本人に使って欲しくないので、例文紹介を省略します!(自分もあまり使ってない言葉です)
キッチンのロシア語会話:Бухал вчера?
Бухать = пить алкоголь, много-много пить
Бухал=過去形、単数の男性
意味:お酒を飲む
英語の類義語:to get heavily drunk
この動詞は超スラングで、ロシア人がとってもよく利用します。
「お酒をたくさん飲む、酔っ払うまで飲む、激しく飲む」という意味で、よく使われる理由がなんとなく分かりますね(笑)。
老若男女が使う言葉ですが、なんとなく女性より男性が使うことが多いです。激しく飲むこと自体は女性が男性より少ないので。
また、あまり「きれいな」ロシア語ではないので、上記の「Дерьмо」と同様に、ロシア語を勉強している日本人は理解するだけがよくて、自分で使うのを避けた方がいいです。
ちなみに、この動詞はロシア語ならではのたくさんの派生語があります。
会話の中で常にさらに新しい派生語が作られるので、言葉の「根」をよく見極め、すぐに意味が理解できるようになりましょう!
こちらの例文をみてください:
- Здорово мы вчера побухали!
- 昨日、めっちゃ飲んで楽しかったね!
- есть-поесть, читать-почитать, бухать-побухать というような派生語。
- Он вчера так набухался, что забыл дорогу домой.
- 彼は昨日飲み過ぎて、自宅までの道も分からなくなった。
- есть – наесться, пить – напиться, бухать – набухаться というパターンの派生語。
キッチンのロシア語会話:Заметно?
Заметить=気付く=という動詞から発生した副動詞。
意味:わかる?見える?バレる?
英語の類義語:can you see it? is it obvious?
これもとってもよく使う表現で、是非覚えて使いこなしてほしいです。
日本語に直訳すると「気付かれる」となりますが、何かが「分かりやすい」、「すぐにわかる」、「バレる」様子を意味しています。
ドラマのシーンでは、シェフが先日激しく飲んで二日酔いしてることが顔に出ていて、バレバレですね。
オーナーが一目でその事実を見破って、「昨日飲んでたの?」と聞いて、シェフが「わかるの?」と言い返しています。
とても便利な表現で、その逆パターン、つまり、「バレない、わからない、見えない」という意味の単語も日常会話でよく使います:
Незаметно (Не заметно)=気付かない、わからない。
例文紹介から使い方のコツを掴めましょう!
- Ой, я брюки испачкал! – Да ладно, совсем не заметно.
- あら、俺、ズボンを汚してしまった!―大丈夫だよ、全然わからない。
- Как ты думаешь, заметно, что я очень волнуюсь?
- 私がめっちゃ緊張しているのがバレバレだと思う?
- Он ушел с работы незаметно.
- 彼が気付かれず(バレずに)会社を出た。
キッチンのロシア語会話:Всё, я несу!
意味:わかった、すぐ持ってきます!
英語の類義語:OK, I’ll bring it right now.
ロシア語日常会話ではよく「Всё」を使います。
辞書をひきますと「全て、全部」という意味の普通の単語で、英語の「All」と同じ意味です。
ただ、ロシア語会話の中で出てくるこの単語は日本語へ訳す場合、シチュエーションによっては「じゃあ」、「それでは」、「もういい」とかいろいろあります。
今回の会話の中で、シェフの口調からウエイトレスが急がなきゃ!と察したので、「わかった、すぐ持ってきます」と訳します。
元々「Всё」=「全部」という意味のこの単語は、会話の中で「もう十分だ」、「これは全て」、「以上」というニュアンスで使われています。このニュアンスを掴めれば、「Всё」の使い方も分かりやすいでしょう。
このシーンでは、シェフが二日酔いで脱水症状で、めっちゃ喉が乾いていますね。なので、ウエイトレスの余計な質問に対してキレてしまいます。
ウエイトレスもシェフに怒られて「もうそれ以上質問しない」というニュアンスで「Всё」と言っています。
他にも、日常的に出かける前、出発する前、何かをする前によく「Всё」を使います。「それでは」とか「もう」という日本語に近い使い方だと思います。
例えばこのようなシチュエーションで「もういい、もう十分」というニュアンスがよく伝わると思います:
- Ну всё, я пошёл.
- じゃあ、もう行くよ。
- Всё, забей на проблемы на работе. Хватит расстраиваться.
- もう仕事のトラブルがどうでもいい(忘れて!)。悲しむのを辞めましょう。(もう十分仕事のことで悲しんだので辞めてというニュアンス)
- Всё, пошли домой.
- もう帰りましょう。(出かけてたくさん遊んでからもうこれで十分と感じて、家に帰りましょうって。)
- Всё, я наелся, больше не хочу, спасибо.
- 俺もうお腹いっぱいだ。お代わりがいらない、ありがとう。
キッチンのロシア語会話:Чё?
意味=Что
英語: What?
ロシア語の日常会話の特徴ですが、多くのロシア人は「Что」をはっきりと綺麗に発音せずに「Чё?」と発音します。
「Чё?」はただの「何」(英語のWhat?)ですので、発音で混乱しないようにね!
「Что」は普段、「Што」って発音しますね。むしろ「Что」と文字通りの発音がおかしくて不自然ですが、「Што」の発音をさらに崩したら「Чё?」となります。
ちなみに、ロシア語を勉強している日本人の皆さんに「Чё?」と発音することをおすすめしません。ロシア人でも「Чё?」と発音する人があまりいい育ちではないという印象を与えます。
「上品な言葉」→「ニュートラルな言葉」→「スラング」→「下品な言葉」というスケールを設けると、「Чё?」はニュートラルな言葉よりスラングに近いです。
まあ、スラングの中でも毎日いつでも使っていい言葉と避けた方がいい言葉がありますね。
ですので、ロシア語を勉強している日本人の皆さんは普通に「Што」と言ってください。
キッチンのロシア語会話:Вот и он.
意味:ちょうど彼がいる。
英語の類似語: Here he is! Here you are!
ロシア語の日常会話でよく「Вот и ●●」という表現を使います。
誰かが来た時、何かが現れた時、誰かがいる/いた時に使います。
英語の「Here it is」というような表現にとても近いです。
- А вот и он.
- ほら、彼がいる。
- А вот и я.
- ほら、俺が来たよ。
- А вот и она как раз пришла.
- ほら、ちょうど彼女が来た。
- Вот и всё.
- 終わり。おしまい。以上。
まとめ
ロシアのドラマ「キッチン」のシーズン1第1話の第5回のロシア語会話解説でした。
今回のロシア語の表現を使う機会がありそうですか?
改めてピックアップした表現を復習しましょう:
-
-
- Дерьмо.
- Бухал вчера?
- Заметно?
- Всё, я несу.
- Чё?
- А, вот и он.
-
ピックアップした表現の他にも、今回のシーンの中で出てきた単語や文法の全てはとても日常会話でよく使われるものですので、もう一度読み返してみてください。
ピックアップしていない単語やフレーズは辞書通りの意味ですので、難しくないと思います。
もし、分からなかった表現や言葉があったら、「ここはもう少し説明してほしい」というのがあったらコメントでフィードバックお願いします!
それでは、次回もお楽しみに!
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